ファーストエッグ 全4巻 (谷崎泉)

   


久々にBL小説の感想です。谷崎さんの「ファーストエッグ」全4巻をやっと読み終わりました。
ラブ薄ながら、硬派な刑事もので面白くはあったのですが、少し尺が足りなかったように思います。
感想はネタバレ満載です。これから読もうと思っておられる方は、”続き”は回避をお勧めします。

小説 ★★★★☆  挿絵 ★★★★☆

<ファーストエッグ 1>
風変わりな刑事ばかりが所属する、警視庁捜査一課外れの部署『五係』。中でも佐竹は時間にルーズな上、自分勝手な行動ばかりの問題刑事だ。だが、こと捜査においては驚異的な『勘』の鋭さを持っており、抜群の捜査能力を発揮していた。そんな佐竹が抱える態度以上の問題―それは、とある事件をきっかけに、元暴力団幹部である高御堂が営む高級料亭で彼と同棲し、身体だけの関係を続けていること。刑事として深く関わるべきではないと理解しつつも、佐竹はその関係を断つことが出来ないでいた。そんな中、五係に真面目で堅物な黒岩が異動してくる。しかも黒岩は、執拗なほど佐竹に付いて回り…!?
<ファーストエッグ 2>
警視庁捜査一課でもお荷物扱いとなっている特命捜査対策室五係。中でも佐竹は、気怠げな態度と自分本位な捜査が目立つ問題刑事だった。その上、佐竹はプライベートで更なる問題を抱えている…。それは、元暴力団幹部で高級料亭主人の高御堂と同棲していること。端正な顔立ちと、有無を言わさぬ硬い空気を持った高御堂とは、快楽を求めあうだけの、心を伴わない身体だけの関係だった。しかし、年月を重ねる中で、佐竹の想いは次第に形を変えていく。そんな中、佐竹の過去に暗い影を落とす『月岡事件』を模倣した連続事件が発生し、更に犯人の脅迫は佐竹自身にも及び…!?
<ファーストエッグ 3>
警視庁の花形である捜査一課において、ひと癖ある刑事ばかりが集う吹き溜まり部署・五係。中でも佐竹は、気だるげな態度と度を越えたマイペースさを持つ問題刑事だった。その上佐竹は、元暴力団幹部である高級料亭の主人・高御堂と長年身体だけの関係を続けている。人を寄せ付けない硬い空気を持つ高御堂が、どうして自分を側に置くのか分からないまま、甘やかされ、身体を開かれてきた佐竹。その関係は次第になくてはならないものとなるが、刑事としてこのままではいけないと、佐竹は葛藤するようになる。そんな中、佐竹自身の過去に暗い影を落とすある人物が現われ…!?
<ファーストエッグ 4>
警視庁捜査一課の片隅にひっそりと存在する、さまざまな事情を抱えた刑事が所属するお荷物部署―特命捜査対策室五係。中でも佐竹は、気怠げな態度と自分本位な捜査が目立つ問題児だった。その上、佐竹はプライベートでも更なる問題を抱えている…。それは、元暴力団幹部で高級料亭主人の高御堂と同棲し、身体だけの関係を続けているということ。しかし年月を重ねる中で、佐竹の高御堂への想いは徐々に形を変え、いけないと分かりながらも、彼から離れることができずにいた。そんな中、佐竹の周囲では過去の確執を巡る様々な事件が起こり…!?佐竹を巡る謎と事件の真相が、今明らかに―。堂々の完結巻!


実業家(元暴力団幹部、41歳)×特殊能力のあるワケあり刑事(31歳)

全4巻で、各巻「現在2話+過去1話」という構成になっています。現在の話は雑誌掲載分、過去は書下ろし。
過去の話は、攻の高御堂と受の佐竹の出会いから、佐竹が5係に飛ばされるきっかけとなった事件がメイン。
現在の話は、黒岩というSATあがりの刑事が、5係に赴任し、佐竹とコンビを組んだときから、始まります。

佐竹と高御堂の関係は、ほぼ同棲しているといっていい状態で、5年続いていました。
とはいえ、佐竹と高御堂は会っていても、ヤッてるか食ってるかですし、甘い雰囲気もありません(笑) 
セフレ以上恋人未満。都合のいい関係からスタートし、お互いに共依存関係が強くなっていく感じでしょうか。
1巻と4巻の表紙は、佐竹・高御堂・黒岩です。この三人のトライアングルは残念ながらありません(笑)

主人公の佐竹には、特殊能力がありました。刑事としては、最高の能力・・・犯人がわかるのです。
「邪悪」な人間を、その「色」で見分けることができる。特に、人を殺した人間は、黒い色に覆われていました。
最初に佐竹が高御堂に興味をもったのは、高御堂に、確かに「殺人者の色」を見たからでした。
特殊な成育歴が原因して、佐竹は、仕事は有能でも、精神的にどこか危ういところがあります。
それが、元暴力団幹部と関係し、同僚を殺した殺人犯を射殺するという行動に結びついてしまうのです。

最初は、刑事事件の解決が主でしたが、徐々に、佐竹への脅迫事件がメインとなっていきます。
佐竹が五係に飛ばされる原因となった過去の連続殺人事件絡みの脅迫事件。犯人は、数年前に、佐竹が射殺していました。では、誰が脅迫状を送っているのか? クライマックスに向かって、複雑に絡みあった現在と過去が少しずつ解きほぐされていきます。

最初、「これは、ひょっとして、谷崎作品としては『真音』以来の傑作かも・・・」と、期待が膨らみました。
でも、3巻が終わったとき思ったのです。佐竹への脅迫事件の行方、現在捜査中の母親殺人事件の解決、同僚の野尻の刺傷事件の真相、黒岩をまとう”色”の意味、突然現れた叔父の亡霊の謎・・・などなど、いくつも広げた風呂敷を、あと1巻で、全部たたみきれるのか?

タイトルの「ファーストエッグ」の意味が、最終巻で判明しました。
ある女性マッドサイエンティストによる、遺伝子操作研究の名称でした。
佐竹は、その科学者を母にもつ、ひとつの研究成果で、特殊能力もその賜物だったわけですが・・・。

現代刑事ものと近未来SF小説の融合、ときどきヤクザもの? 最終巻の黒岩の正体にもビックリ(笑)
正直、ちょっと欲張りすぎ・・・というか、いろいろ詰め込みすぎたという印象です。2段組み4巻でも、風呂敷をたたみきれませんでした。あとせめて1~2巻は尺が必要だったように思います。そのため、突っ込み処がかなり残されていてスッキリしませんでした。大筋は面白いだけに、そこがとても残念です。

最後に・・・佐竹と高御堂とのあやふやな関係にひとつの答えがでました。でも、また新たな問題が・・・。
佐竹が母親から授けられた本当の能力は、実は”不老(不死?)”だったということを暗示して物語は終わっています。十年先も二十年先も、佐竹は若いまま。けれども、高御堂は順当に年を重ねていくのです。
二人の将来的なことは読者の想像にお任せします・・・という感じで終わっていて、モヤモヤ感が残りました。
おそらく、高御堂なしの人生は、佐竹には耐えられないだろうと思われるだけに。

現在発行されている、「ファーストエッグ」の番外編同人誌です。

正命の髑髏
正命の髑髏 弐
正命の髑髏 参
正命の髑髏 肆
OFFICIAL 25  「火に油」(ファーストエッグ&真音コラボ番外編)


とはいえ、十分面白い作品ではあります。 硬派なBLを好む方なら楽しめると思います。


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ジャンル : 本・雑誌

2016年1月の読書メーター

1月の読書メーターをUPします。

内訳は、BL小説2冊、BLコミック5冊、スケート誌4冊、テレビガイド1冊。

読む量が減ってるのは確かなんですけど、1月は特に少なかった。
谷崎さんの「ファーストエッグ」、全4冊のうち2冊読了。
これは面白いです。谷崎作品としては「真音」以来のヒットかも。

スケート誌は4冊読了。4冊中、★5が3冊。
アマゾンのレビュー頼みにせず、書店で確認して買うようになってからハズレが減ったような気がします。


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2019年7月に開設し、本館ブログからBL作品感想記事を移転しました。
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