愛しのニコール (凪良ゆう)

2か月ぶりにBL小説の感想です。忘れそうになりますが、うちはBLブログでもあるんです(笑)
現在、うちにきてくださってる来訪者様は、たぶん腐女子さんより、ゆづファンが多いと思います。
なので、BL感想に需要はあまりないと思いますが、たまには書かないと書き方忘れるので(笑)
考えれば、BLの感想は、2月12日に書いた「ファーストエッグ」以来だったりする・・・。

実際、最近、BL小説の読書量はかなり減っています。もちろん買う量も減ってる。
ではなぜか?っていうと、自分の問題、BL業界の問題、両方あると思います。

自分の問題としては、ご存知のとおり「羽生結弦」に、心のかなりの部分をもっていかれてるから。

次に、業界の問題。BL漫画はまだしも、BL小説業界は、以前より、確実に活気をなくしてます。
BL小説専門書店の中央書店が、かなり軸足をTLに移しているのを見てもわかります。
以前は中央にあったBL小説コーナーが片隅に追いやられているコミック書店もよくみかけます。
BL小説がマンネリ化して、読者に飽きられてきてるのと、本が売れない時代と重なったのが痛い。

作家買いしていたベテラン作家さんの中に、作家としてのピークを過ぎた・・と感じる作家さんも多くなりました。引き出しが枯渇したのか、BLは恋愛小説なので、恋愛を描く瑞々しい感性が年齢とともに衰えたのか。となると、作家買いもできなくなり、新人さんに目を向ける気にもなれず・・・で買う量は減る一方。

そんな中・・・私的に、ピークアウトしてないと感じる作家さんが、凪良ゆうさんと一穂ミチさん。
BLでは、攻の魅力が最重要なのですが、このお二人の描く攻はわりとふつうの人です。
スーパーヤクザでもないし、自家用ジェットをもってるような大富豪でも超エリートでもない。
等身大の人達の、「あるある」な感性が魅力かなと思います。駄作が少ないので安心ですし(笑)

前置きが長くなってしまいました。そんなお気に入りの作家である凪良さんの新作の感想です。
最近、BL小説読むのに時間がかかっていましたが、これは面白くて、一気読みでした。



小説 ★★★★★  挿絵 ★★★☆☆

【あらすじ】
ド田舎の中学生・久美浜二胡はゲイゆえに病気扱いされ、十四歳にして自殺を決意した。けれどその夜、遠い街からきていた少年・榮の屈託のない態度と言葉に救われ、いじめ回避のためオネエキャラ「ニコール」を演じはじめる。数年後、榮は転校生として再び田舎町に現れた。イロモノに成りはてたニコにも榮は優しかったが、淡い初恋を詰め込んだニコの告白は本気にされず、逆に恋愛相談をされる始末で…。長い片恋のクロニクル。


都会から田舎に転校してきたゲイの少年(14~24)×田舎のゲイの少年(14~24)

「泣かないでニコール」+「人生は薔薇色、ではない」+「愛しのニコール」の3部構成。

主人公のニコは、ド田舎のゲイ少年。中学生のときに周囲にゲイだとバレ、壮絶ないじめにあいます。
自殺しようとしたときに、声をかけ、「生きよう」とする活力をくれたのが、転校生の榮でした。
いじめをかわすために、オネエキャラで笑いをとり、ある種の「市民権」を獲得したニコ。
中学ではすぐにまた転校していった榮と、ニコが再会したのは、オネエキャラ全開の高校生のとき。
可愛いけれどすっかりネタキャラとなったニコと、榮は親友となり・・・ニコの長く苦しい片恋が始まりました。

田舎におけるゲイの生きにくさを描いているところに、永井三郎さんの「スメルズライクグリーンスピリット」を思いだしました。その作品には、二人のゲイの少年が登場しますが、ゲイとして生きる決心をした少年は東京で就職し、地元に残った少年は「ゲイである自分を殺して」結婚し、父親になります。そして、この物語の主人公、ニコと榮も、故郷を捨て、東京で生きることを選ぶのです。

ゲイへの偏見はあるのに、テレビ画面の向こうにいる「オネエキャラ」は許される・・・という奇妙な日本の価値観を逆手にとって、田舎で生きる術を身につけたニコ。身を守るために、本来の自分ではない自分を演じ続けなければならなかった日々。学校の人気者になっても、それはあくまで、ピエロを演じるニコを、「上から目線」で面白がるものにすぎませんでした。

榮も同類だとわかっても、榮には恋人がいて・・・自分の気持ちに気づいていない榮にノロけられ・・・。心の中で泣きながら親友の仮面を被って笑顔で接するニコが健気で愛しかったです。

榮はスーパー攻様ではありません。鈍感なとこもヘタレなとこもある。
でも、要所要所で、白馬にのって、さっそうと姫を助けるカッコいい王子様になるのです。

ニコが死のうとしたときに、命を救ってくれて、生きる希望を与えてくれた榮。
ニコを襲った(未遂だが)相手に、本気で報復しようとしてくれた榮(ニコが止めたが)。
同級生の何気ない言葉にニコが傷ついてたときに、その同級生に言い返してくれた榮。
事実と違う噂を信じた村人から、ひどい言葉を投げつけられたニコを、全力で庇ってくれた榮。

窮地を救ってくれた相手に恋をする」という恋愛法則・・・これは永遠の法則です。
それも一度や二度じゃない。これは反則です(笑) ニコの片思いがしつこく持続したのもわかります。
相手がハゲチビブスならともかく、榮はイケメンなのです。これで好きになるなという方が無理。

それでもいつか想いが擦り切れてしまうこともある・・・「賞味期限切れ」は秀逸でした(笑)
凪良さんの心理描写はいつもながら素晴らしい。脱帽です。綺麗ごとばかりじゃないのもいいですね。

そして・・・ニコの祖母ちゃんがゆづファンだというオチに受けました!(笑) さすがゆづファンの凪良さん。今月、徳間書店から、華藤えれなさんのスケート小説がでるのですが、凪良さんにもぜひお願いしたいです。

親友から恋人へ・・・人と人との想いの歴史として見るのも面白いかと思います。
片恋の切なさがギュッギュッと詰まっています。おススメです♪


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ここで待ってる (凪良ゆう)



重い秘密を抱えながらも、全体的には心温まるファミリーBLに仕上がっていました。
私は、こんな祭りをしたくらい凪良さんのファンですが、この作品はあまり好みではありませんでした。
ハッピーエンドなのに、なぜか残るモヤモヤ感。それがなんなのか・・・自分なりに考えてみました。
感想はネタバレしています。未読の方はご注意ください。

小説 ★★★☆☆  挿絵 ★★★☆☆

【あらすじ】
小悪魔ビッチ好きという嗜好のせいで、なかなか恋人に恵まれない成田。ある夜、ゲイバーで一目ボレした美人の飴屋といい雰囲気になるけれど、すんでのところで逃げられてしまう。ところが数日後、成田が師範代を務める空手道場に、飴屋が子連れで現れた!? 小学一年生の論が空手を習いたいと言うのだ。好みど真ん中だけど妻子持ち──以来、飴屋と子供を挟んでの微妙な付き合いが始まって……!?


空手師範代(24歳)×大工(25歳)

ビッチな美人・飴屋にゲイバーで人目惚れした成田。忘れられずにいたところ、偶然の再会が・・・。
成田の空手道場に入門してきた論の父親が飴屋だったのです。再会=失恋の構図に成田は大ショック。
しかし、飴屋と親しくなるうちに、飴屋とその妻・のばらとの間には、複雑な事情があるとわかります。

生徒のママさんたちの熱い視線を一身に浴びる、イケメン細マッチョの成田でしたが、実は生粋のゲイ。
しかし、好みのタイプが”小悪魔ビッチ”と男の趣味が悪いため、お人好しの成田はいつも振られてばかり。
夫婦仲が悪そうでもないのに、なぜか妻と別居してる飴屋の家を訪ねるようになり、息子の論を中心に、成田の祖父も参加して、成田、祖父、飴屋、のばら、論と、5人の疑似家族のような関係が始まります。

ずっと片思いだった親友が事故で急死し、その男の子供を身籠った恋人と結婚し、忘れ形見を一緒に育てる。
この設定は、他のBLでもみかけたことがあり既視感がありましたが、今回は、重い秘密が隠されていました。

飴屋と妻・のばらの間には、恋愛感情はなく、あったのは、”拓人”という共通の男を愛した者同士の絆でした。
二人が抱えている秘密は、論が拓人とのばらの子どもであり、拓人とのばらが異父兄妹であったということ。
拓人とのばらは兄妹であることを知らずに恋に落ち、その後事実を知った二人は駆け落ちするつもりでした。
しかし、その直前、拓人はバイク事故で急死。飴屋は、のばらとお腹の子供を守るため、のばらと結婚します。

成田の母、のばらの母、飴屋の両親・・・血が繋がっていても冷たい親子関係でした。
他人同士でも、疑似家族であっても、実家族より家族らしい関係を築くことができる・・・というファミリーBL。
普通に考えれば、ほのぼのとしたいい話なのでしょう。でも、なぜか、ずっと居心地の悪さが拭えませんでした。

飴屋ものばらも、拓人を心から愛していました。拓人への愛が、飴屋とのばらを結びつけていたのです。
兄妹だとわかった後も、二人は別れられず、拓人の死後、のばらは反対を押し切って論を産みました。
そして、拓人という男が、ただの親友以上の存在だったからこそ、飴屋も大きな自己犠牲を払うことができた。
それくらい、二人にとって、大きな存在である”拓人”が、論のために、その存在を完全に抹殺されている。

もちろん、論が近親相姦の末に生まれた子どもだということを、世間から隠したい気持ちはわかります。
でも、論自身にすら、その秘密を一生隠し通す決心をしている飴屋とのばらの考えに違和感を感じました。
それほど、二人にとって、”拓人とのばらの関係”は汚らわしい、恥ずべきことなのでしょうか?
のばらは、拓人の子供を中絶しなかった。拓人を心から愛し、拓人の子どもが欲しかったからです。
拓人を愛しているといいながら、論の出生に関しては、拓人がまるで”汚いものに蓋”のような扱いをされている。
厄介事を残したまま、一人でとっとと死んでしまった拓人の自業自得とはいえ、モヤモヤ感が残りました。

出生の秘密を知れば、論はショックを受けるでしょう。でも、人は自分のルーツを知る権利があります。
飴屋は、誰よりも立派な父親です。論の父親は、血の繋がりなど関係なく、飴屋だけだというのは間違いない。
でも、将来、論が秘密を知る可能性は高いと思います。それなら、事前に話しておく方がいいのでは・・・とも。

子供に責任はありません。可能な限り手をさしのべるべきでしょう。でも、論に対しては過保護すぎでは?

道場にはたくさん生徒がいるのに、その道場主が、論にだけ、私情まみれの特別扱いは問題ないのか。
論の秘密を守るために、のばらの母親の”暗黙の恐喝”に、一生応じ続けるのか。
いくら論が可愛いからといって、成田の祖父が、飴屋と離婚したのばらと同居するというのはいかがなものか。
恋人同士になった飴屋と成田が、不倫でもないのに同居をしていない。どこまで論に気をつかうのか。

最後の方は、4人の大人でよってたかって一人の子供を甘やかしてるように感じました。論は王様です(笑)
最初は物分りのよかった論がだんだん我儘になっていましたが、過ぎた特別扱いは教育に悪いのでは・・・?

「のばらと拓人が兄妹」という設定を無理にいれる必要はあったか?とすら思いました。 
飴屋がのばらと結婚したのは、拓人とのばらが兄妹だから・・・というわけじゃないですしね。
その設定さえなければ、いろんな矛盾がなくなり、すっきり解決したような気がします。

私の好みではありませんでしたが、子供を中心にしたファミリーBLが好きなら楽しめると思います。
成田に惹かれていく自分を必死に抑えようとする飴屋の心情描写には、心に迫るものがありました。
恋愛感情の細やかな描写は、さすが凪良さんでした。次の作品はそちらをメインでお願いします。


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「求愛前夜 ~恋愛前夜2~」とリンクしています。ヤコ先生がコラボした作家・つぐみがこの作品の主人公。「求愛前夜」とはテイストの違う”泣かせる”作品でした。感想はネタバレしてますので、未読の方はご注意を。

小説 ★★★★☆  挿絵 ★★★★☆

【あらすじ】
「俺はもう誰とも恋愛はしない」。仄かに恋情を抱いた男から、衝撃の告白をされた小説家のつぐみ。十年来の恋人に振られ傷ついたつぐみを下宿に置いてくれた朔太郎は、つぐみの作品を大好きだという一番の理解者。なのにどうして…?戸惑うつぐみだが、そこには朔太郎が抱える大きな闇があって!?今日の大切な想い出も、明日覚えているとは限らない…記憶障害の青年と臆病な作家の純愛!!

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恋愛前夜」で、トキオに失恋したヤコ先生の救済編スピンオフです。もしかしたら・・・と思ってはいましたが、やはりこうきたか!でした。表紙から、大方の人が想像するであろう展開とは真逆をいっておりました(笑)

小説 ★★★★★  挿絵 ★★★★☆

【あらすじ】
女子より女子な中高生の恋のカリスマ。けれど賞とは無縁の大人気少女漫画家・小嶺ヤコ―。そんな貞行の前に現れたのは新担当の貢藤。眼光鋭いヤクザ顔で、貞行の密かな憧れのサブカル誌出身。ラブリーな少女漫画を理解できるはずもない!?けれど貢藤は、貞行の作品を熟知するばかりか、意外にもウブな恋愛初心者だった!!恋より仕事優先の貞行も、貢藤のギャップに好奇心を煽られて!?

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明らかに両想いなのに、手を取り合えない切なさ・もどかしさをたっぷり味わえる1冊です。

小説 ★★★★☆  挿絵 ★★★★☆

【あらすじ】
高校生の文人が唯一心を開くのはネットで知り合った年上の男性「アルタイル」。趣味の天体観測を通じて穏やかにメールを交わすつきあいだ。卒業式の後、友人の言葉に酷く傷ついた文人は駆けつけたアルタイルと初めて会いその人柄に更に惹かれるが、本名すらわからないまま交流は途絶える。数ヶ月後、姉が連れて来た婚約者はアルタイルその人で?

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プロフィール

みずほ(別館)

Author:みずほ(別館)
こちらは「BLトラベラー ~羽生結弦応援ブログ~」の別館ブログです。
2019年7月に開設し、本館ブログからBL作品感想記事を移転しました。
今まで書き溜めてきたBL感想文の保管庫となります。

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