氷上のアルゼンチン・タンゴ (華藤えれな)
BLとフィギュアスケートがコラボした、「氷上のアルゼンチン・タンゴ」を読みました。
うちのブログにぴったりの作品ですが、感想をあげるかどうかは、正直迷いました。
というのも・・・個人的に微妙な読後感だったからです。
でも、滅多にない貴重なフィギュアBL小説なので、感想をあげることにしました。
BL小説でフィギュア界を扱った作品は多くありません。私が過去に読んだのは、以下の3作品です。
銀盤を駆けぬけて(春原いずみ) → 感想はこちら
スケオタキャリアの長い春原さん。おそらく、BL界で一番骨太なフィギュアBLを書ける人ではないかと勝手に思っています(笑) 個人的には、この作品がイチオシですが、恋愛よりスケートの比重が大きい作品なので、恋愛重視の人には物足りないかもしれません。カップリングは、コーチ×男子シングルスケーターです。
キス&クライから愛をこめて(小塚佳哉) → 感想はこちら
こちらは、カップリングは、熱狂的なファン(元ヤクザの実業家)×男子シングルスケーター。かなり特異なカップリングで、世間にバレたら、男同士ということより、お相手が元ヤクザということがスキャンダルになるのじゃないかと心配になりました(笑) 上下巻なので、読み応えはあります。
銀盤のシャノワール(砂床あい)
カップリングはコーチ×男子シングルスケーター。攻(コーチ)にとって、受(選手)は元恋人(男)の忘れ形見・・・という、少しややこしい人間関係がありました。内容は可もなく不可もなく・・・で、あまり印象には残っていませんが、本間アキラさんの挿絵が美しかったことは覚えています。
「氷上のアルゼンチン・タンゴ」は、珍しくスケーター同士ということで、


みたいなのを勝手に想像していました。でも、ちょっと・・・違いましたね。
アマゾンで、「周りの選手達も先生も見回せば・・・ゲイだらけ。(「実は、フィギアはゲイの宝庫なの?」と思えてくるほど。)」と書いておられるレビュアーさんがおられました。
BLでは、兄弟全員ゲイだとか、会社の同僚がほとんどゲイだとか、そんな作品をたまにみかけます。総ホモBLもそれはそれで楽しいんですが、冷静に考えるとおかしいです。でも、フィギュア界に多いのは事実なので、この作品がゲイだらけでも、そこにはあまり不自然さは感じませんでした(笑)
【あらすじ】
四回転ジャンプを軽々跳ぶ、17歳の天才スケーター―。リンクでは誰ともつるまない年下のライバル・栄翔に、嫉妬と劣等感を抱いていた紘夢。名伯楽の父に才能を見出された栄翔とは、同じ屋根の下で育ってきた。こいつがいなければ父さんは俺のコーチだったのに…。「紘夢さんは俺の憧れの選手なんです」と告げられても、冷たく突き放してきた紘夢。けれど突然、二人きりの海外合宿を命じられ!?
小説 ★★★☆☆ 挿絵 ★★★☆☆
17歳の男子シングル選手(全日本3位→1位)×21歳の男子シングル選手(全日本7位→2位)
女王様受とMな下僕タイプの年下攻という、BLでよくあるカップルにスケートをあてがった・・・という作品でした。
紘夢は、美しい容姿だけが取り柄の、21歳にもなってGPシリーズに出場したことすらない二線級の選手です。そんな拡夢と同居しているのが、2種類の4回転を跳び、前年の全日本で3位になった17歳の天才スケーター・栄翔でした。栄翔が両親を亡くし、スケートを続けられなくなったとき、その才能を見込んで、コーチをしている紘夢の父親が引き取ったのです。
トップスケーター同士の、リンクの氷も溶けるような、メラメラ燃えあがる氷上対決。一流は一流を知る・・・一歩も引けないライバル同士。スケーターのタイプとしては正反対。誰よりも互いの力を認めながら、自分にはないものをもつ相手にどうしようもなく惹かれていく2人。ガチンコ対決と並行して、美しい男たちの恋が燃えさかる・・・みたいな感じかなと思っていたんですよね。まあ、私が勝手に期待して、イメージ膨らませていただけなのですが(笑)
一番違和感があったのは、「紘夢は男前」という、周囲の評価。実力もないのに、プライドばかり高くて、卑屈になったり傲慢になったり、ただの女々しい情緒不安定男にしかみえませんでした。口が悪くて、我儘で、自分の好きなことしかしない男で、栄翔も紘夢の(容姿以外)どこがよくて、そんなに好きなのかよくわかりませんでした。
栄翔にしても、スケートを続けているのは、紘夢に認めてもらいたいという理由だけで、紘夢が大学卒業と同時にスケートを引退し、一緒にオリンピックを目指さないなら、「僕もやめるもん!」とかいいだす始末。栄翔の世界は、紘夢を中心にして回っています。少し変態が入ったドMなワンコです。
紘夢は、栄翔の才能に嫉妬して、スケート仲間の前で、何年も栄翔をシカトし、栄翔が孤立するように仕向けていたくせに、栄翔が自分に好意をもってると知ったとたん、急に過去の行いを反省。身体の関係ができたら、あんなに嫌っていた栄翔とラブラブ。栄翔と付き合いだしたとたん、なぜか急にスケートの調子までよくなり、トリプルアクセルすらまともに跳べなかったのに、3Aどころか、四回転トゥーループまで跳べちゃうようになります。あら、不思議。どんな魔法がかかったの(笑)
BLは恋愛至上主義なので、「恋愛>>>スケート」でもいいのですが、それにしても、「あんたら、スケートなめとんのか?」といいたくなるような主人公と話の展開でした(笑)
良かったのは、タイトルにもなっている「氷上のアルゼンチン・タンゴ」の部分。エキシビションでタキシードの二人が踊る、男同士のアルゼンチン・タンゴです。ショーで、こういう遊びのペアは見てみたいですね。なれないことして怪我をするとマズイので、本当は現役の選手では無理だと思いますが、プロスケーターなら、こういう趣向も一興だと思いました(笑)
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