氷上のアルゼンチン・タンゴ (華藤えれな)

  氷上のアルゼンチン・タンゴ(華藤えれな 徳間書店)


BLとフィギュアスケートがコラボした、「氷上のアルゼンチン・タンゴ」を読みました。
うちのブログにぴったりの作品ですが、感想をあげるかどうかは、正直迷いました。
というのも・・・個人的に微妙な読後感だったからです。
でも、滅多にない貴重なフィギュアBL小説なので、感想をあげることにしました。

BL小説でフィギュア界を扱った作品は多くありません。私が過去に読んだのは、以下の3作品です。

銀盤を駆けぬけて(春原いずみ)  → 感想はこちら
スケオタキャリアの長い春原さん。おそらく、BL界で一番骨太なフィギュアBLを書ける人ではないかと勝手に思っています(笑) 個人的には、この作品がイチオシですが、恋愛よりスケートの比重が大きい作品なので、恋愛重視の人には物足りないかもしれません。カップリングは、コーチ×男子シングルスケーターです。

キス&クライから愛をこめて(小塚佳哉) → 感想はこちら
こちらは、カップリングは、熱狂的なファン(元ヤクザの実業家)×男子シングルスケーター。かなり特異なカップリングで、世間にバレたら、男同士ということより、お相手が元ヤクザということがスキャンダルになるのじゃないかと心配になりました(笑) 上下巻なので、読み応えはあります。

銀盤のシャノワール(砂床あい)
カップリングはコーチ×男子シングルスケーター。攻(コーチ)にとって、受(選手)は元恋人(男)の忘れ形見・・・という、少しややこしい人間関係がありました。内容は可もなく不可もなく・・・で、あまり印象には残っていませんが、本間アキラさんの挿絵が美しかったことは覚えています。

「氷上のアルゼンチン・タンゴ」は、珍しくスケーター同士ということで、
トップスケーター同士のライバル意識バチバチのガチンコLOVE 
みたいなのを勝手に想像していました。でも、ちょっと・・・違いましたね。

アマゾンで、「周りの選手達も先生も見回せば・・・ゲイだらけ。(「実は、フィギアはゲイの宝庫なの?」と思えてくるほど。)」と書いておられるレビュアーさんがおられました。 
BLでは、兄弟全員ゲイだとか、会社の同僚がほとんどゲイだとか、そんな作品をたまにみかけます。総ホモBLもそれはそれで楽しいんですが、冷静に考えるとおかしいです。でも、フィギュア界に多いのは事実なので、この作品がゲイだらけでも、そこにはあまり不自然さは感じませんでした(笑)


【あらすじ】
四回転ジャンプを軽々跳ぶ、17歳の天才スケーター―。リンクでは誰ともつるまない年下のライバル・栄翔に、嫉妬と劣等感を抱いていた紘夢。名伯楽の父に才能を見出された栄翔とは、同じ屋根の下で育ってきた。こいつがいなければ父さんは俺のコーチだったのに…。「紘夢さんは俺の憧れの選手なんです」と告げられても、冷たく突き放してきた紘夢。けれど突然、二人きりの海外合宿を命じられ!?

小説 ★★★☆☆  挿絵 ★★★☆☆


17歳の男子シングル選手(全日本3位→1位)×21歳の男子シングル選手(全日本7位→2位)

女王様受とMな下僕タイプの年下攻という、BLでよくあるカップルにスケートをあてがった・・・という作品でした。

紘夢は、美しい容姿だけが取り柄の、21歳にもなってGPシリーズに出場したことすらない二線級の選手です。そんな拡夢と同居しているのが、2種類の4回転を跳び、前年の全日本で3位になった17歳の天才スケーター・栄翔でした。栄翔が両親を亡くし、スケートを続けられなくなったとき、その才能を見込んで、コーチをしている紘夢の父親が引き取ったのです。

トップスケーター同士の、リンクの氷も溶けるような、メラメラ燃えあがる氷上対決。一流は一流を知る・・・一歩も引けないライバル同士。スケーターのタイプとしては正反対。誰よりも互いの力を認めながら、自分にはないものをもつ相手にどうしようもなく惹かれていく2人。ガチンコ対決と並行して、美しい男たちの恋が燃えさかる・・・みたいな感じかなと思っていたんですよね。まあ、私が勝手に期待して、イメージ膨らませていただけなのですが(笑)

一番違和感があったのは、「紘夢は男前」という、周囲の評価。実力もないのに、プライドばかり高くて、卑屈になったり傲慢になったり、ただの女々しい情緒不安定男にしかみえませんでした。口が悪くて、我儘で、自分の好きなことしかしない男で、栄翔も紘夢の(容姿以外)どこがよくて、そんなに好きなのかよくわかりませんでした。

栄翔にしても、スケートを続けているのは、紘夢に認めてもらいたいという理由だけで、紘夢が大学卒業と同時にスケートを引退し、一緒にオリンピックを目指さないなら、「僕もやめるもん!」とかいいだす始末。栄翔の世界は、紘夢を中心にして回っています。少し変態が入ったドMなワンコです。

紘夢は、栄翔の才能に嫉妬して、スケート仲間の前で、何年も栄翔をシカトし、栄翔が孤立するように仕向けていたくせに、栄翔が自分に好意をもってると知ったとたん、急に過去の行いを反省。身体の関係ができたら、あんなに嫌っていた栄翔とラブラブ。栄翔と付き合いだしたとたん、なぜか急にスケートの調子までよくなり、トリプルアクセルすらまともに跳べなかったのに、3Aどころか、四回転トゥーループまで跳べちゃうようになります。あら、不思議。どんな魔法がかかったの(笑)

BLは恋愛至上主義なので、「恋愛>>>スケート」でもいいのですが、それにしても、「あんたら、スケートなめとんのか?」といいたくなるような主人公と話の展開でした(笑)

良かったのは、タイトルにもなっている「氷上のアルゼンチン・タンゴ」の部分。エキシビションでタキシードの二人が踊る、男同士のアルゼンチン・タンゴです。ショーで、こういう遊びのペアは見てみたいですね。なれないことして怪我をするとマズイので、本当は現役の選手では無理だと思いますが、プロスケーターなら、こういう趣向も一興だと思いました(笑)


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愛しのニコール (凪良ゆう)

2か月ぶりにBL小説の感想です。忘れそうになりますが、うちはBLブログでもあるんです(笑)
現在、うちにきてくださってる来訪者様は、たぶん腐女子さんより、ゆづファンが多いと思います。
なので、BL感想に需要はあまりないと思いますが、たまには書かないと書き方忘れるので(笑)
考えれば、BLの感想は、2月12日に書いた「ファーストエッグ」以来だったりする・・・。

実際、最近、BL小説の読書量はかなり減っています。もちろん買う量も減ってる。
ではなぜか?っていうと、自分の問題、BL業界の問題、両方あると思います。

自分の問題としては、ご存知のとおり「羽生結弦」に、心のかなりの部分をもっていかれてるから。

次に、業界の問題。BL漫画はまだしも、BL小説業界は、以前より、確実に活気をなくしてます。
BL小説専門書店の中央書店が、かなり軸足をTLに移しているのを見てもわかります。
以前は中央にあったBL小説コーナーが片隅に追いやられているコミック書店もよくみかけます。
BL小説がマンネリ化して、読者に飽きられてきてるのと、本が売れない時代と重なったのが痛い。

作家買いしていたベテラン作家さんの中に、作家としてのピークを過ぎた・・と感じる作家さんも多くなりました。引き出しが枯渇したのか、BLは恋愛小説なので、恋愛を描く瑞々しい感性が年齢とともに衰えたのか。となると、作家買いもできなくなり、新人さんに目を向ける気にもなれず・・・で買う量は減る一方。

そんな中・・・私的に、ピークアウトしてないと感じる作家さんが、凪良ゆうさんと一穂ミチさん。
BLでは、攻の魅力が最重要なのですが、このお二人の描く攻はわりとふつうの人です。
スーパーヤクザでもないし、自家用ジェットをもってるような大富豪でも超エリートでもない。
等身大の人達の、「あるある」な感性が魅力かなと思います。駄作が少ないので安心ですし(笑)

前置きが長くなってしまいました。そんなお気に入りの作家である凪良さんの新作の感想です。
最近、BL小説読むのに時間がかかっていましたが、これは面白くて、一気読みでした。



小説 ★★★★★  挿絵 ★★★☆☆

【あらすじ】
ド田舎の中学生・久美浜二胡はゲイゆえに病気扱いされ、十四歳にして自殺を決意した。けれどその夜、遠い街からきていた少年・榮の屈託のない態度と言葉に救われ、いじめ回避のためオネエキャラ「ニコール」を演じはじめる。数年後、榮は転校生として再び田舎町に現れた。イロモノに成りはてたニコにも榮は優しかったが、淡い初恋を詰め込んだニコの告白は本気にされず、逆に恋愛相談をされる始末で…。長い片恋のクロニクル。


都会から田舎に転校してきたゲイの少年(14~24)×田舎のゲイの少年(14~24)

「泣かないでニコール」+「人生は薔薇色、ではない」+「愛しのニコール」の3部構成。

主人公のニコは、ド田舎のゲイ少年。中学生のときに周囲にゲイだとバレ、壮絶ないじめにあいます。
自殺しようとしたときに、声をかけ、「生きよう」とする活力をくれたのが、転校生の榮でした。
いじめをかわすために、オネエキャラで笑いをとり、ある種の「市民権」を獲得したニコ。
中学ではすぐにまた転校していった榮と、ニコが再会したのは、オネエキャラ全開の高校生のとき。
可愛いけれどすっかりネタキャラとなったニコと、榮は親友となり・・・ニコの長く苦しい片恋が始まりました。

田舎におけるゲイの生きにくさを描いているところに、永井三郎さんの「スメルズライクグリーンスピリット」を思いだしました。その作品には、二人のゲイの少年が登場しますが、ゲイとして生きる決心をした少年は東京で就職し、地元に残った少年は「ゲイである自分を殺して」結婚し、父親になります。そして、この物語の主人公、ニコと榮も、故郷を捨て、東京で生きることを選ぶのです。

ゲイへの偏見はあるのに、テレビ画面の向こうにいる「オネエキャラ」は許される・・・という奇妙な日本の価値観を逆手にとって、田舎で生きる術を身につけたニコ。身を守るために、本来の自分ではない自分を演じ続けなければならなかった日々。学校の人気者になっても、それはあくまで、ピエロを演じるニコを、「上から目線」で面白がるものにすぎませんでした。

榮も同類だとわかっても、榮には恋人がいて・・・自分の気持ちに気づいていない榮にノロけられ・・・。心の中で泣きながら親友の仮面を被って笑顔で接するニコが健気で愛しかったです。

榮はスーパー攻様ではありません。鈍感なとこもヘタレなとこもある。
でも、要所要所で、白馬にのって、さっそうと姫を助けるカッコいい王子様になるのです。

ニコが死のうとしたときに、命を救ってくれて、生きる希望を与えてくれた榮。
ニコを襲った(未遂だが)相手に、本気で報復しようとしてくれた榮(ニコが止めたが)。
同級生の何気ない言葉にニコが傷ついてたときに、その同級生に言い返してくれた榮。
事実と違う噂を信じた村人から、ひどい言葉を投げつけられたニコを、全力で庇ってくれた榮。

窮地を救ってくれた相手に恋をする」という恋愛法則・・・これは永遠の法則です。
それも一度や二度じゃない。これは反則です(笑) ニコの片思いがしつこく持続したのもわかります。
相手がハゲチビブスならともかく、榮はイケメンなのです。これで好きになるなという方が無理。

それでもいつか想いが擦り切れてしまうこともある・・・「賞味期限切れ」は秀逸でした(笑)
凪良さんの心理描写はいつもながら素晴らしい。脱帽です。綺麗ごとばかりじゃないのもいいですね。

そして・・・ニコの祖母ちゃんがゆづファンだというオチに受けました!(笑) さすがゆづファンの凪良さん。今月、徳間書店から、華藤えれなさんのスケート小説がでるのですが、凪良さんにもぜひお願いしたいです。

親友から恋人へ・・・人と人との想いの歴史として見るのも面白いかと思います。
片恋の切なさがギュッギュッと詰まっています。おススメです♪


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ファーストエッグ 全4巻 (谷崎泉)

   


久々にBL小説の感想です。谷崎さんの「ファーストエッグ」全4巻をやっと読み終わりました。
ラブ薄ながら、硬派な刑事もので面白くはあったのですが、少し尺が足りなかったように思います。
感想はネタバレ満載です。これから読もうと思っておられる方は、”続き”は回避をお勧めします。

小説 ★★★★☆  挿絵 ★★★★☆

<ファーストエッグ 1>
風変わりな刑事ばかりが所属する、警視庁捜査一課外れの部署『五係』。中でも佐竹は時間にルーズな上、自分勝手な行動ばかりの問題刑事だ。だが、こと捜査においては驚異的な『勘』の鋭さを持っており、抜群の捜査能力を発揮していた。そんな佐竹が抱える態度以上の問題―それは、とある事件をきっかけに、元暴力団幹部である高御堂が営む高級料亭で彼と同棲し、身体だけの関係を続けていること。刑事として深く関わるべきではないと理解しつつも、佐竹はその関係を断つことが出来ないでいた。そんな中、五係に真面目で堅物な黒岩が異動してくる。しかも黒岩は、執拗なほど佐竹に付いて回り…!?
<ファーストエッグ 2>
警視庁捜査一課でもお荷物扱いとなっている特命捜査対策室五係。中でも佐竹は、気怠げな態度と自分本位な捜査が目立つ問題刑事だった。その上、佐竹はプライベートで更なる問題を抱えている…。それは、元暴力団幹部で高級料亭主人の高御堂と同棲していること。端正な顔立ちと、有無を言わさぬ硬い空気を持った高御堂とは、快楽を求めあうだけの、心を伴わない身体だけの関係だった。しかし、年月を重ねる中で、佐竹の想いは次第に形を変えていく。そんな中、佐竹の過去に暗い影を落とす『月岡事件』を模倣した連続事件が発生し、更に犯人の脅迫は佐竹自身にも及び…!?
<ファーストエッグ 3>
警視庁の花形である捜査一課において、ひと癖ある刑事ばかりが集う吹き溜まり部署・五係。中でも佐竹は、気だるげな態度と度を越えたマイペースさを持つ問題刑事だった。その上佐竹は、元暴力団幹部である高級料亭の主人・高御堂と長年身体だけの関係を続けている。人を寄せ付けない硬い空気を持つ高御堂が、どうして自分を側に置くのか分からないまま、甘やかされ、身体を開かれてきた佐竹。その関係は次第になくてはならないものとなるが、刑事としてこのままではいけないと、佐竹は葛藤するようになる。そんな中、佐竹自身の過去に暗い影を落とすある人物が現われ…!?
<ファーストエッグ 4>
警視庁捜査一課の片隅にひっそりと存在する、さまざまな事情を抱えた刑事が所属するお荷物部署―特命捜査対策室五係。中でも佐竹は、気怠げな態度と自分本位な捜査が目立つ問題児だった。その上、佐竹はプライベートでも更なる問題を抱えている…。それは、元暴力団幹部で高級料亭主人の高御堂と同棲し、身体だけの関係を続けているということ。しかし年月を重ねる中で、佐竹の高御堂への想いは徐々に形を変え、いけないと分かりながらも、彼から離れることができずにいた。そんな中、佐竹の周囲では過去の確執を巡る様々な事件が起こり…!?佐竹を巡る謎と事件の真相が、今明らかに―。堂々の完結巻!


実業家(元暴力団幹部、41歳)×特殊能力のあるワケあり刑事(31歳)

全4巻で、各巻「現在2話+過去1話」という構成になっています。現在の話は雑誌掲載分、過去は書下ろし。
過去の話は、攻の高御堂と受の佐竹の出会いから、佐竹が5係に飛ばされるきっかけとなった事件がメイン。
現在の話は、黒岩というSATあがりの刑事が、5係に赴任し、佐竹とコンビを組んだときから、始まります。

佐竹と高御堂の関係は、ほぼ同棲しているといっていい状態で、5年続いていました。
とはいえ、佐竹と高御堂は会っていても、ヤッてるか食ってるかですし、甘い雰囲気もありません(笑) 
セフレ以上恋人未満。都合のいい関係からスタートし、お互いに共依存関係が強くなっていく感じでしょうか。
1巻と4巻の表紙は、佐竹・高御堂・黒岩です。この三人のトライアングルは残念ながらありません(笑)

主人公の佐竹には、特殊能力がありました。刑事としては、最高の能力・・・犯人がわかるのです。
「邪悪」な人間を、その「色」で見分けることができる。特に、人を殺した人間は、黒い色に覆われていました。
最初に佐竹が高御堂に興味をもったのは、高御堂に、確かに「殺人者の色」を見たからでした。
特殊な成育歴が原因して、佐竹は、仕事は有能でも、精神的にどこか危ういところがあります。
それが、元暴力団幹部と関係し、同僚を殺した殺人犯を射殺するという行動に結びついてしまうのです。

最初は、刑事事件の解決が主でしたが、徐々に、佐竹への脅迫事件がメインとなっていきます。
佐竹が五係に飛ばされる原因となった過去の連続殺人事件絡みの脅迫事件。犯人は、数年前に、佐竹が射殺していました。では、誰が脅迫状を送っているのか? クライマックスに向かって、複雑に絡みあった現在と過去が少しずつ解きほぐされていきます。

最初、「これは、ひょっとして、谷崎作品としては『真音』以来の傑作かも・・・」と、期待が膨らみました。
でも、3巻が終わったとき思ったのです。佐竹への脅迫事件の行方、現在捜査中の母親殺人事件の解決、同僚の野尻の刺傷事件の真相、黒岩をまとう”色”の意味、突然現れた叔父の亡霊の謎・・・などなど、いくつも広げた風呂敷を、あと1巻で、全部たたみきれるのか?

タイトルの「ファーストエッグ」の意味が、最終巻で判明しました。
ある女性マッドサイエンティストによる、遺伝子操作研究の名称でした。
佐竹は、その科学者を母にもつ、ひとつの研究成果で、特殊能力もその賜物だったわけですが・・・。

現代刑事ものと近未来SF小説の融合、ときどきヤクザもの? 最終巻の黒岩の正体にもビックリ(笑)
正直、ちょっと欲張りすぎ・・・というか、いろいろ詰め込みすぎたという印象です。2段組み4巻でも、風呂敷をたたみきれませんでした。あとせめて1~2巻は尺が必要だったように思います。そのため、突っ込み処がかなり残されていてスッキリしませんでした。大筋は面白いだけに、そこがとても残念です。

最後に・・・佐竹と高御堂とのあやふやな関係にひとつの答えがでました。でも、また新たな問題が・・・。
佐竹が母親から授けられた本当の能力は、実は”不老(不死?)”だったということを暗示して物語は終わっています。十年先も二十年先も、佐竹は若いまま。けれども、高御堂は順当に年を重ねていくのです。
二人の将来的なことは読者の想像にお任せします・・・という感じで終わっていて、モヤモヤ感が残りました。
おそらく、高御堂なしの人生は、佐竹には耐えられないだろうと思われるだけに。

現在発行されている、「ファーストエッグ」の番外編同人誌です。

正命の髑髏
正命の髑髏 弐
正命の髑髏 参
正命の髑髏 肆
OFFICIAL 25  「火に油」(ファーストエッグ&真音コラボ番外編)


とはいえ、十分面白い作品ではあります。 硬派なBLを好む方なら楽しめると思います。


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FLESH & BLOOD外伝2 ー祝福されたる花ー (松岡なつき)




久しぶりにフレブラの感想です。本編の感想は停滞してしまってますが(汗)、外伝の方を先にあげます。
本編の方は、なにかと苦しい展開になっていますが、外伝はただただ心楽しく読めました。

小説 ★★★★★  挿絵 ★★★★☆

【あらすじ】
「FLESH&BLOOD」シリーズ、待望の外伝第2弾!  本編には入りきらない番外編を収録した珠玉のエピソード集。船長ジェフリーが、プリマスの我が家へ帰還!!人目を忍ぶ凱旋だけれど、再会の喜びに逸る海斗は、恋人とつい甘い雰囲気にひたり勝ち。仲間のうんざりした声とともに、屋敷で海斗を迎えたのは、いつの間にか植えられていた懐かしいラベンダーの花だった―。表題作「祝福されたる花」他、ユアン視点で描く、ジェフリーとの衝撃的な邂逅「流浪の森を抜けて」等、書き下ろしを含む全5編収録!!


小説キャラ掲載の3話+書き下ろし2話の構成です。

昨日の友 : 小説キャラ vol.25掲載 
ジェフリーとナイジェルの少年時代のお話です。
今でこそ”やり手の航海長”として恐れられているナイジェルですが、船乗りとしてはまだまだひよっ子だった頃。
タイプは違えど、ジェフリーにも負けず劣らぬ美少年だったナイジェルには、水夫たちの間にはけっこうファンがいたのです。自分の魅力に無自覚なナイジェルは全く気付いていませんでしたが。
その水夫たちから身を挺して(?)、ナイジェルを守っていたのがジェフリー。ナイジェルを、水夫たちの毒牙(?)から守るために、進んで自分が彼らの相手をしていたんですね。

ジェフリーの初恋の相手はナイジェルでした。好きな相手のためなら、自分の犠牲にするのも厭わない男気は、昔からだったよう。まあ、少年時代からビッチだったジェフリーにとっては、自己犠牲ってほどの行為ではなかったかもしれない。そして、こういう無鉄砲なところが、ジェフリーの魅力でもあるわけだけど。実は、ジェフリーと海斗より、この二人のじゃれ合いの方が萌える私(笑) この頃は、一人の少年を挟んで、恋敵になるとはお互い思っていなかったでしょう。でも・・・もし、ジェフリーに告白する勇気があって、ナイジェルが(まずないだろうけど)受け入れて恋人同士になっていたら、どうなっていたんだろう?という想像をついしてしまいます。

舟遊び : 小説キャラ vol.27掲載 
海斗がまだイギリスの宮廷にいた頃のお話。1日休みをもらった海斗に、ジェフリーが舟遊びをプレゼント。
尤も、スポンサーはジェフリーだけど、実はこの企画を提案したのはキットだったと(笑)
ストーリーが進むにつれ、何気に存在感を増しているキット。愛すべきキャラクターだけに死んでほしくない。
アルマダの海戦が1588年。キットが29歳の若さで亡くなったのが1593年。意外とキットって若いんだ(笑)

この短編の冒頭の海斗の高校時代の回想シーンで、歴史の授業で、先生がシェイクスピアを語っています。
シェイクスピアには別人説があると。その授業では名前があがっていないけど、キット(クリストファー・マーロウ)がシェイクスピアではないかという説もあります。なので、この平行世界ではもしかしたら・・・と密かに期待しているのです。「祝福されたる花」で、キットの運命を知っている海斗とリリーが、キットの将来を心配しているくだりがありました。本当に、松岡さんにキットの「助命嘆願書」をだしたいくらいです(笑)

人の望みの喜びよ : 小説キャラ vol.30掲載
鬼の水夫長・ルーファスの生い立ち&ジェフリーとの出会い編。

流浪の森を抜けて : 書き下ろし
ユアンの生い立ち&ジェフリーとの出会い編。

本編は物語の流れを重視すべきなので、設定のすべてを入れるわけにはいかない。水夫たちの中では、ルーファスやユアンはかなり重要度の高いキャラなので、彼らの生きてきた背景が読めてよかったです。
ジェフリーもナイジェルも、ルーファスもユアンも・・・皆、本当の家族の愛情には恵まれなかった者たち。海斗ですら、家族とうまくいっていなかった。そんな孤独な彼らにとっては、グローリア号こそ自分が帰るべき唯一の”家”であり、グリーリア号の仲間こそが”真の家族”なのだと、とてもよくわかる短編でした。

祝福されたる花 : 書き下ろし
ジェフリー解放後の海斗とのラブラブ番外編。とにかく、本編が殺伐としてる最中なので、和みました(笑)

スケアクロウ : アマゾン購入特典ペーパー
ジェフリーは、本気になった相手には、かなり”重い恋人”です。それを多少は自覚してるのか、いずれ海斗に鬱陶しがられるのではないかと心配するジェフリー。天下のプレイポーイ(死語?)が、海斗に関しては、本当に心配性ですね。いかに、海斗に骨抜きかよくわかる短編でした。周囲はジェフリーのこんな悩みを知ったら、さぞや呆れるでしょうけど(笑)


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ここで待ってる (凪良ゆう)



重い秘密を抱えながらも、全体的には心温まるファミリーBLに仕上がっていました。
私は、こんな祭りをしたくらい凪良さんのファンですが、この作品はあまり好みではありませんでした。
ハッピーエンドなのに、なぜか残るモヤモヤ感。それがなんなのか・・・自分なりに考えてみました。
感想はネタバレしています。未読の方はご注意ください。

小説 ★★★☆☆  挿絵 ★★★☆☆

【あらすじ】
小悪魔ビッチ好きという嗜好のせいで、なかなか恋人に恵まれない成田。ある夜、ゲイバーで一目ボレした美人の飴屋といい雰囲気になるけれど、すんでのところで逃げられてしまう。ところが数日後、成田が師範代を務める空手道場に、飴屋が子連れで現れた!? 小学一年生の論が空手を習いたいと言うのだ。好みど真ん中だけど妻子持ち──以来、飴屋と子供を挟んでの微妙な付き合いが始まって……!?


空手師範代(24歳)×大工(25歳)

ビッチな美人・飴屋にゲイバーで人目惚れした成田。忘れられずにいたところ、偶然の再会が・・・。
成田の空手道場に入門してきた論の父親が飴屋だったのです。再会=失恋の構図に成田は大ショック。
しかし、飴屋と親しくなるうちに、飴屋とその妻・のばらとの間には、複雑な事情があるとわかります。

生徒のママさんたちの熱い視線を一身に浴びる、イケメン細マッチョの成田でしたが、実は生粋のゲイ。
しかし、好みのタイプが”小悪魔ビッチ”と男の趣味が悪いため、お人好しの成田はいつも振られてばかり。
夫婦仲が悪そうでもないのに、なぜか妻と別居してる飴屋の家を訪ねるようになり、息子の論を中心に、成田の祖父も参加して、成田、祖父、飴屋、のばら、論と、5人の疑似家族のような関係が始まります。

ずっと片思いだった親友が事故で急死し、その男の子供を身籠った恋人と結婚し、忘れ形見を一緒に育てる。
この設定は、他のBLでもみかけたことがあり既視感がありましたが、今回は、重い秘密が隠されていました。

飴屋と妻・のばらの間には、恋愛感情はなく、あったのは、”拓人”という共通の男を愛した者同士の絆でした。
二人が抱えている秘密は、論が拓人とのばらの子どもであり、拓人とのばらが異父兄妹であったということ。
拓人とのばらは兄妹であることを知らずに恋に落ち、その後事実を知った二人は駆け落ちするつもりでした。
しかし、その直前、拓人はバイク事故で急死。飴屋は、のばらとお腹の子供を守るため、のばらと結婚します。

成田の母、のばらの母、飴屋の両親・・・血が繋がっていても冷たい親子関係でした。
他人同士でも、疑似家族であっても、実家族より家族らしい関係を築くことができる・・・というファミリーBL。
普通に考えれば、ほのぼのとしたいい話なのでしょう。でも、なぜか、ずっと居心地の悪さが拭えませんでした。

飴屋ものばらも、拓人を心から愛していました。拓人への愛が、飴屋とのばらを結びつけていたのです。
兄妹だとわかった後も、二人は別れられず、拓人の死後、のばらは反対を押し切って論を産みました。
そして、拓人という男が、ただの親友以上の存在だったからこそ、飴屋も大きな自己犠牲を払うことができた。
それくらい、二人にとって、大きな存在である”拓人”が、論のために、その存在を完全に抹殺されている。

もちろん、論が近親相姦の末に生まれた子どもだということを、世間から隠したい気持ちはわかります。
でも、論自身にすら、その秘密を一生隠し通す決心をしている飴屋とのばらの考えに違和感を感じました。
それほど、二人にとって、”拓人とのばらの関係”は汚らわしい、恥ずべきことなのでしょうか?
のばらは、拓人の子供を中絶しなかった。拓人を心から愛し、拓人の子どもが欲しかったからです。
拓人を愛しているといいながら、論の出生に関しては、拓人がまるで”汚いものに蓋”のような扱いをされている。
厄介事を残したまま、一人でとっとと死んでしまった拓人の自業自得とはいえ、モヤモヤ感が残りました。

出生の秘密を知れば、論はショックを受けるでしょう。でも、人は自分のルーツを知る権利があります。
飴屋は、誰よりも立派な父親です。論の父親は、血の繋がりなど関係なく、飴屋だけだというのは間違いない。
でも、将来、論が秘密を知る可能性は高いと思います。それなら、事前に話しておく方がいいのでは・・・とも。

子供に責任はありません。可能な限り手をさしのべるべきでしょう。でも、論に対しては過保護すぎでは?

道場にはたくさん生徒がいるのに、その道場主が、論にだけ、私情まみれの特別扱いは問題ないのか。
論の秘密を守るために、のばらの母親の”暗黙の恐喝”に、一生応じ続けるのか。
いくら論が可愛いからといって、成田の祖父が、飴屋と離婚したのばらと同居するというのはいかがなものか。
恋人同士になった飴屋と成田が、不倫でもないのに同居をしていない。どこまで論に気をつかうのか。

最後の方は、4人の大人でよってたかって一人の子供を甘やかしてるように感じました。論は王様です(笑)
最初は物分りのよかった論がだんだん我儘になっていましたが、過ぎた特別扱いは教育に悪いのでは・・・?

「のばらと拓人が兄妹」という設定を無理にいれる必要はあったか?とすら思いました。 
飴屋がのばらと結婚したのは、拓人とのばらが兄妹だから・・・というわけじゃないですしね。
その設定さえなければ、いろんな矛盾がなくなり、すっきり解決したような気がします。

私の好みではありませんでしたが、子供を中心にしたファミリーBLが好きなら楽しめると思います。
成田に惹かれていく自分を必死に抑えようとする飴屋の心情描写には、心に迫るものがありました。
恋愛感情の細やかな描写は、さすが凪良さんでした。次の作品はそちらをメインでお願いします。


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みずほ(別館)

Author:みずほ(別館)
こちらは「BLトラベラー ~羽生結弦応援ブログ~」の別館ブログです。
2019年7月に開設し、本館ブログからBL作品感想記事を移転しました。
今まで書き溜めてきたBL感想文の保管庫となります。

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